小説:汝、星のごとく

この小説を読んで、2つ心に残った。
一つは、自分で考えて、自分の生き方を選択しないといけないということ。
二つ目は、「過去は変えられない」の次に「ただし、過去は新しいことで上書きすることができる」だ。

小説の登場人物の北原先生と瞳子さんの生き方や言葉に、救われた気がした。
正しさに縛られる必要はない。
もう少し身勝手でもよい。
自分がどうありたいかの選択権は、いつでも自分のなかに在る、そうありたいと思った。
とてもよい小説だと思った。

 
「誰かに遠慮して大事なことを諦めたら、あとで後悔するかもしれないわよ。。。私の経験からすると、誰のせいにしても納得できないし救われないの。誰もあなたの人生の責任を取ってくれない」

「好きこそものの上手なれ。櫂くんだってそうやってプロになったんでしょう」
最初はだれでもただ好きからだからはじめるのだ。

「ねえ、暁美ちゃん、いざってときは、誰になんて言われようと好きなことをしなさいね。怖いのは、えいって飛び越えるその一瞬だけよ。飛び越えたら、あとはもう自由なの」
「どこ行きかわからない、地獄行きかもしれない列車に、えいって飛び乗れるかどうか」
「必要なのは頭をからっぽにする、その一瞬だけ」

「使えるものはなんでも使えばいいじゃない」

「自分がかわいそうと思わなければ、誰にそう思われてもいいじゃないですか」
自分がどうありたいかの選択権は、いつでも自分の手のなかに在る。

わたしはあなたを癒すためだけに存在しているふわふわのぬいぐるみじゃない。わたしは生きて、考えて、時間の経過と共に変化していき、傷ついたり喜んだりするひとりの人間で、あなたの恋人だ。それをどうやって伝えればいいのだろう。(言いたいことも言えず、飲み込んだ言葉)

-いざってときは誰に侮られようが切り捨てる
-もしくは誰に恨まれようが手に入れる
-そういう覚悟がないと、人生はどんどん複雑になっていくわよ
(現状にいる、情に流されている)優しさは、弱さ。

「ぼくは過去に間違えましたが『つい間違えた』わけではありません。間違えようと思って間違えたんです。後悔はしていませんが、そんな間違いは一度で充分だと思っています」
「そりゃ糾弾する人はいると思います。...他の人は知りません。わたしはそう思う」

「あんたの中心はあんたやで。どんだけ惚れても自分の城は明け渡したらあかん。自分で自分のことをつまらんとかも言うな。あんたの価値はあんたが決めるんや」

「人は群れで暮らす動物です。だからなにかに属さないと生きていけない。ぼくが言っているのは、自分がなにに属するかを決める自由です。自分を縛る鎖は自分で選ぶ」

「誰がなんと言おうと、ぼくたちは自らを生きる権利があるんです。ぼくの言うことは
おかしいですか。身勝手ですか。でも、それは誰と比べておかしいんでしょう。その誰かが正しいという証明は誰がしてくれるんでしょう」
「正しさなど誰にもわからないんです。だから、きみももう捨ててしまいなさい」
それを問う北原先生自身もなにかを捨てて、なにかを選び取った人なのだ。わたしよりもずっと先に、覚悟を決めた人なのだ。

過去は変えられないと言うけれど、未来によって上書きすることはできる。