読書案内:子育ての哲学:主体的に生きる力を育む

子どもが自分の力で考え、判断し、その判断も、一瞬の感情からではなく、普遍的にそうあるべきという思慮を持って、吟味できるような判断ができるのであれば、ある種、子どもは幸せに生きていけれるのでないかと思う。

そのためには、子どもを導く意識が必要だ。親が子供感情を受けとめていても、子どもは、自分がしたい、感じている気持ちを自分でとらえられていないことがある。親でも、普遍的にそうあるべきという視点で物事を考える習慣を持っていない親がいる。

同じことを書いてしまうが、ハイデガーによると、「人間は自分の感情に気付くことで、自分がどうしたいのか、どうすべきなのかを判断し、納得した行動をとることができる」。普段、私たちは自分の感情に応じて行動を起こすが、その感情に無自覚であるほど衝動的に行動してしまう。

普段の気持ち、過度に場の空気を読み、周囲の人々に同調し続けて疲れてしまう。周囲の人々に対して、自分は間違っていないと正当化する自己中心的な気持ちになってしまう。「子育てをしなければならない」という義務感と「子育てとは別のことがしたい」という二つの欲望を持ってしまう。そういった気持ちになったとき、「一般的他者の視点」で吟味を加えられたら、日常の葛藤を克服できるかもしれない。

子どもだけでなく、親も成長しなくてはならない。