読書案内:The HOPE 50歳はどこへ消えた?半径3メートルの幸福論

この本は、とても素敵な言葉、著名人の言葉が所々に散りばめられており、
人に話したくなるようなうん蓄がたくさんあった。

幸せになるための知恵や生き方の例が、具体的に書かれていた。
成功した人は決してパーフェクトな人ではなく、自分を認め、他者ともいい
関係を保てられる人であったことが述べられていた。

この本は、自分が異質なものと遭遇してしまって、相手との違いを受け入れる
ところから始まっている。自分を再定義して、行動を起こす。
自分が成長のどの位置にいるかを見つめなおすことが大切と思った。
感謝の気持ちを持ち続けることが必要であることが分かった。

 

英語で、孤独は、自分で選択する孤独(solitude)と、寂しい孤独(loneliness)に
分けられる。
自分で選択する孤独は、「自分の存在」を自覚できる状態。一抹の寂しさを感じることがあっても「自分だけじゃないよな。ほかの人も似たようなもんじゃないかな」と考えたり、他者と自分とのつながりを自由に開いたり、閉じたりできる。
一方、寂しい孤独は、周りに人がいても排除されている感じがして、居場所がない、
望まない孤独だ。他者と共に過ごし、信頼を保つことで安心を得てきた人間にとって、
他者の温もりを感じることができない寂しさは大きなストレスになる。


人間は生物的に、周期性、規則性のある行動を好む傾向がある。
例えば、家庭のルーティンとは、
①食事の時間がだいたい決まっている
②あさごはんは、できる限り一緒に取る
③家を出る時は必ず「行ってきます」と言い、家族が「行ってらっしゃい」と返す。
④家に帰った時には必ず「ただいま」と言い、家族が「お帰り」と返す。
こうした当たり前がしっかりある家庭の子供はストレス対処力が高く、家族の満足度
が高いことが、いくつも研究で確かめられている。家族と共に過ごす時間が日常的にあれば、少なくともその瞬間は心が休まる貴重な時間になることは間違いない。


自分のある人は、周りに流されたり、自分を殺したりすることなく、他者といい関係を
築くことができる。人間関係に疲れた時には、自分で選択する孤独をうまいこと利用する。そうすることで【半径三メートル世界】の生活を楽しみ、イキイキとした日常を送ることができる。

 

私は「人は幸せになるために生まれてきた」と信じている。それを実現するために必要なものがこれら6つの思考であり、幸せの6つの思考を習慣化することで、すべての人に宿る「幸せへの力」が引き出せる。

心理的ウェルビーイングの6つの思考
①自己受容=自分と共存する
②人格的成長=自分の可能性を信じる
③自律性=自分の行動や考え方を自己決定できる
④人生の目的=どんな人生を送りたいかはっきりしている
⑤環境制御力=どんな環境でもやっていけるという確信
⑥積極的な他者関係=温かく信頼できる人間関係を築いているという確信

 

①自己受容=自分と共存する
「ありのままを受け入れる」
自身の人間性の欠点を認め、理想と食い違っていることを承知している。他者の欠点も
それはそれとして受け入れている。自分を誇張するような見せかけの態度、偽善的な
言葉遣い、狡猾さ、対面を気にする様子、厚かましさなど、まったく見られなかった。
他者の言動に苛立ったり、嫌気が差したりするようなことがあっても、あたかも家族
のような愛情で相手に接していた。
人を幸せにすれば人から評価され、社会を幸せにすれば社会から評価される。

 

②人格的成長=自分の可能性を信じる
50歳ともなれば、後輩のため、地域のため、次の世代をよりよいものにすべく積極的に
関わることで、「世話」に喜び=美徳を見出すことができる。

 

③自律性=自分の行動や考え方を自己決定できる
最後は「自分の生き方を決めるのは自分」という強い信念のもと、自分の価値判断で
行動する。自分で、たくましくて、しなやかな生き方を実現する。それが自律性だ。
真の自律性は、極めて個人的で、自分の内面から自ずからにじみ出るもののことだ。
男性は、30代ですでに自分の会社での立ち位置が見え、やる気を失ったり、自分で
限界を定めたりしてしまう人が多い。

 

④人生の目的=どんな人生を送りたいかはっきりしている
人生を意味あるものにするには、具体的には活動することだ。自分の活動を通じて、
もっと有意義で、もっと意味に満ちた人生を送ることができる。
ささくれた気持ちになることもあるかもしれない。しかし、「あなた」が応えよう
としていたのは、そもそも「会社の期待」だったのではないだろうか。

 

⑤環境制御力=どんな環境でもやっていけるという確信
自分が自分でいるためには、時として自分で環境を変える努力が必要になる。
自分自身のために、納得できる自分でいるために、現状を打破するために、とことん
踏ん張らなきゃならない瞬間がある。
一つ一つ自分のやるべきことに完全燃焼し、内面を進化させることが、壁を超える力
になる。小さな自信を積み重ねることで成長を実感し、「私がやっていることには
意味がある」と確信するようになる。

 

⑥積極的な他者関係=温かく信頼できる人間関係を築いているという確信
積極的な他者関係における信頼とは、ただただ、相手を愛することである。
相手を信頼するという行為は、相手の行動によっては自分が不利益を被ったり、傷ついたりするリスクがある。なので、相手への期待がついて回るものだ。しかし、信頼と安心は別。信頼とは相手に何も期待せずに、初めに受け入れること。一方で、安心は「きっとこうしてくれるだろう」と、自分の利益をもたらしてくれる相手選びから始まる点で大きく異なる。
著者は、「愛はケチるな」。裏切られてもよいと思おうと強調している。

 

司馬さんは。「いたわり、他人の痛みを感じること、やさしさ、は一つの根から出ている言葉だが本能ではない。」「訓練して身に付けねばならないのである」と説いている。絶好調の時ほどちょっとだけ立ち止まり、自分を支えてくれた人を思い出して感謝し、社会的に評価されている時ほど「自分は他者をないがしろにしていないか?」と謙虚なまなざしで他人を思いやる。そのための訓練を忘れてはいけないのだ。