読書案内:人新世の「資本論」


 エコ、SDGs、グリーン経済など、環境を重視した言葉が使われていても、経済成長を志向した資本主義は、環境を壊し、しいては、人の暮らしを豊かにするのではなく、貧困にさせる仕組みを持っているかもしれないということをこの本から知った。


 昔、環境破壊という言葉と、マルクスを一緒に議論することはなかったように思う。労働を搾取されるという表現はあったが、時間や思考を労働に奪われる(搾り取られる)と思っていた。海、水、空気を壊して、知らないうちに見えない貧困者に負荷を押し付けるという構図があることを強く意識しなかった。現代は、奪われるのではなく、押し付けられる。よくよく考えてみれば、原子力のゴミは昔も弱いところに押し付けていたので、このようなことはなんとなく、知らなかった訳ではないか。搾取というより、押し付けといった言葉の方が適切なのかしらん。

 

 脱成長、自分が提供するサービスの質の低下に異議申し立てを行うこと、学校ストライキ有機農業、環境NGOで活動する、企業に厳しい環境対策を求めること、資本主義と気候変動問題にコミットメントすることが新しい「資本論」の読み方であり、これからの新しい資本主義(?)のようだ。