読書案内:オードリー・タン 天才IT相7つの顔

 IT業界のもののとらえ方のなかに、現代のコミュニティの在り方をどのように考えるかのヒントがあるように感じられた。
「問題解決の方法は1つじゃない。」
「いかなる議論の場でも、我々は王も大統領も投票も認めない。我々が信じるのは、ざっくりとした合意と、動いているコードだけだ。」ざっくりとした合意とは、「満足ではないにせよ、みんなが受け入れられる」こと、討論して各人が受け入れ可能な結果を出すこと。
こうした表現のなかに、これまでの一つの価値観とか、世の中のルールの多様性を認める姿を感じ、とても感動した。

 

 難度の高い共同作業を行うためには技術的な工夫が必要である。そのために行うのが、短時間のミーティング。
スタンディングミーティングでは、昨日は何をしたか、今日は何をするか、今はどんなトラブルに遭遇しているかを報告する。

 

 ある集合体のなかで以下のような手順で継続的に練習し、メンバー一人ひとりが協力して検討し、共に思考する習慣を身につけることができれば、最終的に得られる答えは、権力を使ったものではなく、すべての人の共通認識から生まれたものとなる。
1.批判的思考(Critical thinking):なぜ自分がこう考えるのか、なぜ他人がそう考えるのかとその理由を考える。
2.ケア的思考(Care thinking):討論の際に他人がどう感じるかに配慮する。
3.創造的思考(creative thinking):もっと独創的な考えができるかどうかに踏み込み、自分らしいものを生み出す。

 成熟したインターネットユーザーは、情報を受け取りすぎず、コンテンツを作り出せなくてはならない。アップロードとダウウンロードのバランスと頻度を保つことが重要である。情報の受け取りすぎはよくない。「クリエイティブであれ!」
「こうありたいという未来を見定めたら、まず自分をこうなりたい自分に変える!」
私には、とても新しい文化や発想で、自分の行動の中に入れたいと思った。